日曜は久しぶりに、比良山荘へ熊鍋を食べに。最初に熊鍋を食べて以来、年に一度はと思っていたのですが、2年越しとなってしまいました。
大津市を過ぎ、山間部に入ると見事な雪景色。国道367号線の車道は綺麗に除雪されているのでノーマルタイヤでも行けますが、横道は人の背丈ほども雪が積もっています。比良山荘前も御覧の通り。庭や畑も、すっかり雪に覆われていました。
山荘前の側溝には、上流の滝からの清水が流れています。澄んだ清らかな流れは、そのまま比良山荘の庭の池に引き込まれていて、この池で鯉や鮎が泳がされています。ここの鮎や鯉に臭味が感じられないのも、この清水があればこそなのでしょうね。この流れで地元の方が大根を洗っていたのがとても微笑ましくて、それが今でも忘れられません。
そして、部屋に入ると外の寒さが嘘のよう。センスのいい、とても落ち着いた雰囲気の室内からは、雪が降り積もった庭が見渡せます。夏の緑豊かな風景もいいですが、一面真っ白なこの眺めはまた格別。この部屋の雰囲気や豊かな自然、澄んだ空気や水、それらがもうすでに御馳走なのです。
熊鍋はもちろん美味しいのですが、それまでに出てくる料理がまた最高。左はなんと鯉の白子。癖の無い淡白な味わいと、トロトロの食感、それに出汁のしっかり効いた餡がかかり、なんとも言えない旨さ。ワサビももちろん本ワサビで、絶妙にこの料理に合っているのです。
右は、鮒寿司ならぬ鮎寿司。鮒寿司ほど香りはきつくなく、食べ易い印象。とはいえやはり濃厚な風味なので、ダメな人もいるでしょうね。ウォッシュタイプのチーズが食べられる人なら大丈夫かな。それにしてもこの風味、日本酒が欲しくて堪らなくなりますね。
お造りは左から、鹿、岩魚、鯉の洗いです。鹿は辛味大根と頂くのですが、この相性がまた抜群で。そのままだと僅かに感じる獣臭さを、辛味大根が旨く消し去り、尚且つその旨味を引き立てているのです。数ある生肉の中でも、この刺身は最高の部類に入るのではないでしょうか。
そして、臭味が無く旨味たっぷりの鯉の旨さもさることながら、岩魚の刺身がまたとても美味しくて。口に含むと、泳いでいた清流が思い浮かぶような、そんな鮮烈な味わいでした。
その岩魚の香味焼きがこちら。添えられているのは大根の子供?おせち料理に使われるそうですが、私は食べるのが初めてで、しゃくしゃくした歯応えがいいですね。もちろん、木の芽の風味が効いた岩魚の美味しさは格別。しっかりとした味付けながら、風味がちゃんと残っている岩魚の力強い味わいが印象的でした。
そしていよいよ熊の登場。冬眠を控えてたっぷりと栄養を蓄えた熊の肉は、御覧のとおりの見事な脂身。赤身の倍ほども脂身があります。中央に牡丹のように盛られている部分なんて、ほぼ100%脂身で、初めての人だと、先ずこのインパクトにたじろいでしまうのではないでしょうか?

熊肉の前に、先ず野菜が茹でられていきます。出汁は、すき焼きの割り下を少し薄くしたような、甘辛いもの。そのままだとやや濃く感じますが、熊肉や野菜の旨味を吸って、これがなんとも美味しくなっていくのです。
この日は6人で、2つの鍋で頂いたのですが、御主人がテキパキと両方の鍋に素材を投入してくれるのに思わず見とれてしまいました。こちらが食べるスピードを見て上手く調整して素材を入れてくれるので、私達はひたすら食べる事に集中するのみ。
熊肉は、さっと火を通す程度。チリチリと縮まった脂身は臭みなど一切無く、この世の物とは思えないほどの旨さ。赤身の部分ももちろん美味しいのですが、この鍋の主役は間違いなくこの脂身でしょう。脂身と言うより、旨味の詰まったコラーゲンといった感じで、噛み締めるほどにぽ~っと放心状態になるような...鍋にしてこれ以上美味しい肉なんて他にあるでしょうか?人間の力など及ばない、野生の動物が持つ凄みのようなものを感じずにはいられません。
そして、野菜がまた熊肉に負けず劣らずの旨さ。穏やかな苦味が心地よい京菊菜、煮込むほどに旨味を吸い美味しくなる独活、歯応えのいいセリ、風味豊かな葱、どれもがでしゃばり過ぎず主役の熊肉を引き立てつつ、その旨味ももらい堪えられない美味しさになっているのです。
鍋の中身がすっかり無くなりかけると、岩魚の骨煎餅が出てきます。カリカリの岩魚は、歯応えも心地よく、これまた酒が欲しくなりますね。添えられているフキノトウの天ぷらの苦味がまた鮮烈で。春を待つ山菜の、力強さのようなものが感じられました。

その間にも、鍋には栃餅が。鄙びた風味の栃餅は、とろとろに煮込んだ方が酸味が抜けて美味しく感じられました。そして、その後には饂飩が。これはもう、美味しくない訳がないですよね。

残った出汁があまりにもったいなく、最後は雑炊で。鯉こくと共に頂きました。鯉こくはいつもながらの美味しさで、臭みがなく旨味たっぷりな味わい。雑炊は、けっこう膨らんだお腹にもすっと入る優しい美味しさでした。
最後はデザートで締め。柚子のシャーベットと、大粒のイチゴです。柚子のシャーベットは結構しっかりした甘さながら、柚子の風味がしっかりと効いています。イチゴもとても甘くて美味しかったですが、以前頂いた完熟柿のインパクトには負けるかな。
この後お腹いっぱいの一行は、1時間ほど横になりうとうとと。12時から16時まで、ほぼ4時間ほどの滞在は、文字通りあっという間に過ぎていきました。楽しい時間って、ほんと過ぎるのが早いですよね。
今回も、最高の料理に最高のもてなし、そして最高の環境が揃い、身も心も大満足となりました。熊鍋は一人前15750円。猪も頂ける猪熊鍋もあり、猪も相当な旨さなのですが、やはり熊肉には一歩及ばないというのが正直なところ。事実、2度目に訪れる人はほぼ熊鍋を注文するそうです。
比良山荘
住所 滋賀県大津市葛川坊村町94
TEL 077-599-2058
営業時間 11:30-14:00 17:00-19:00予約制
火曜定休
URL http://www.hirasansou.com/
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