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美味しんぼと昔の思い出

 コンビニに立ち寄った際、コミック売り場に美味しんぼの101巻がありました。なんともう101巻。凄いですね。最近はもう買わなくなっていたのですが、この巻は興味がある内容で買うことに。

内容はズバリ食の安全。餃子事件で揺れる中、とてもタイムリーな内容となっています。連載次期は去年のことですから、まるでこの騒動を予見していたかのよう。相変わらず、中国に対してはちょっと甘めのスタンスですが、今回の事件を知った作者の心中やいかに。

とはいえ、日本国内での食に関する事件を見ていると、中国の食品さえ避ければ安全といのも幻想的で、この本ではそこらへんのことを絶望と希望に分けて描かれています。いつもながら、ちょっとオーバーアクションな表現もありますが、概ね信頼のおける内容。

”食品の裏側”の安部司氏や、まだ未読ですが”変わる家族変わる食卓”の岩村陽子氏などの話、そして実際の生産現場の話まで、その取材力には驚かされるばかり。これだけするどく裏側に切れ込める人が、どうしてあっちの話になると盲目に突っ走るのか分からないけど、まぁそれも人間の面白さでしょうか。

それはさておき、内容は示唆に富、特に家庭をお持ちの方は買って損はないこと受け合い。中でも、学生さんが阿部氏にしたためた手紙には感動。親の作った弁当の見た目が悪く隠して食べていたが、阿部氏の話を聞いてからは堂々と食べられるようになったといった内容。

つまり、その見てくれの悪い弁当は手作りのものばかりの愛情のこもった弁当だったとのこと。そういえば、私も学生のころ母の弁当をとても嫌がった覚えがあります。煮物やおひたしがメインで、しかも胚芽米が妙に黄色っぽくて、友人のウィンナーや揚げ物が入った綺麗な弁当に比べると、なんともみすぼらしい気がして。

今思えば、なんという罰当たり。もう恥ずかしくて反省するしかないのですが、自然なものを自然な風味で食べさせてくれた親には感謝するばかりです。私がそうであったように、とかく子供というのは物事の本質を見落としがちで、時には無理やりにでも子供の言い分を曲げなければならないのでしょうが、昨今は子供に合わす事が普通のようで。

と、結婚もしていない私が言っても説得力ゼロですが、仕事柄多くの家庭をみていて、そう思うことも多々あるのです。習い事や趣味もいいけど、家族団らんの時間が無くなったら本末転倒やん、と常々思っていたところ、先日のみそかつを子供ととのコメントをいただき、なんとも微笑ましく温かい気持ちにさせていただきました。

本の話に戻ると、日本の有機野菜の割合実に0.16%。なんとも絶望的な数字ではありませんか。しかし、その1%に満たない方の努力が実り、そういった方が増えているのも事実であり、それが希望とのこと。

今回の餃子事件で、日本人の食への意識が変わり、安全にはコストがかかるものという認識が広まれば、食料自給率が上がる日も来るかもしれませんね。というわけで、次回はそういう気分を盛り上げてくれる店を紹介したいと思います。

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コメント

美味しんぼは、私が食に目覚めるきっかけの本でした。
そういえば日本酒の純米・吟醸酒の存在等も、この本で情報を仕入れた記憶があります。
おもえば、昨今の食に対する本格指向のムーブメントはここから来たのではないか?と勝手に思っています。

投稿: 黒ムラ | 2008年3月 1日 (土) 10時06分

 コメントありがとうございます。

日本酒の特集は私もおおいに参考にさせて頂きました。
グルメブームは確かにこの漫画からですよね。
浅はかなグルメブームに終わらず、食の本質にせまろうとしている姿勢にも好感が持てます。
時々大げさな表現が目立つのが気になりますが、私にとっても食への興味を掻き立ててくれた、貴重な漫画です。
それにしても、100巻越えとは凄いですよね。

投稿: 岡電 | 2008年3月 2日 (日) 16時45分

 「美味しんぼ」は良い漫画ですよね。
 ささやかな抵抗に過ぎませんが、私はスーパーやコンビニでは、すぐ食べるとわかっている食品に関しては、必ず一番前に陳列されている商品(消費期限や賞味期限が近いもの)を購入するようにしています。
 CO2を大量に排出させながら海外から食品を大量に輸入し、その挙句、期限切れによる大量廃棄…。
 自然と調和しながらつつましく生きてきた、昔の日本人の謙虚な心は一体どこにいってしまったのか。
 しかし、具体的に何をどう変えれば、どんなシステムを構築すれば、食料自給率は上がるのでしょうか…難しいなぁ。
 外食や冷凍食品ではなく、家庭の手作りの食事であっても、そのへんのスーパーで「とにかく安いから」と安易な買い方をした食材を使って調理している限り、決して食の安全は保証されませんよね。
 でも貧乏人の身としては、「安全・安心は高い金を出さねば買えないもの」というのは厳しい。
 実家が農家で、出荷用とは別に作った自宅用の米や野菜で食事をまかなっている友人がいるんですが、かなりうらやましいです。

投稿: 甕 | 2008年3月 2日 (日) 22時19分

 コメントありがとうございます。

食の問題は本当に難しいですね。
和歌山のような田舎ならまだしも、都会の方だと特に厳しいと思います。
安価に安全なものが買えると一番いいのですが、無農薬をされている農家の方の手間隙を考えるとそれも酷な話になりますし...
知り合いの農家の方の話では、無農薬に変えた年は、米の収穫が3分の1になったそうです。
美味しんぼでは、若い農家の方がネットなどの直販で、比較的に安く安心なものを販売しているとも書かれていましたが、高齢化が進む農家が多い中、それも一般化するには難しそうです。
本当は国が抜本的な対策を講じなければならないのでしょうが、今のあの有様ではとても期待は...

中国では富裕層に日本の農作物が人気だそうですが、このままでは日本の消費者が中国の農作物を心配しながら食べ、日本のわずかな安全な物が中国の富裕層のものになる、なんて笑えない事になるかもしれません。
ちょっと暗い話になってしまいましたが、一連の事件が食を見直す、いいきっかけになってくれればいいのですけどね。

投稿: 岡電 | 2008年3月 3日 (月) 02時29分

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