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比良山荘@大津市

 季節の変わり目にはいつも、比良山荘から可愛い絵葉書が届きます。なんでも若女将の書いたものを複写したものだとか。これを見ると私はもういても立ってもいられなくなってしまうのです。秋と冬は寄らせていただきましたが、夏は未だ未体験。此処は夏の鮎が名物なのに、ということで今回弟夫妻と母と事務員さんと共にやって来ました。

P1020889 安曇川にそそぐ明王谷の渓谷。この上流の三の滝から側溝を通して比良山荘まで水が送られてきます。その水の透明感、手を入れてみると痺れるほどの冷たさ。そこで地元の人が野菜を洗い、山荘のビールやお茶が冷やされている。都会のいわゆるドブのようなものしか知らない者にとっては、これだけでもうたまらなくなってしまいます。

P1020856 そして、その水が山荘の庭の池を循環しているのです。そこに鯉が泳ぎ、奥の池では鮎が放たれている。この水の清廉さに驚き、そこで泳ぐ鯉を頂けることに胸が高鳴ってきます。今回は幸運にも二階の部屋でしたので、この池や遠くの山々、緑に染まった木々を眺めながらの食事となったのです。涼しげな風が心地よく、エアコンなんて必要ありません。

P1020859 食前酒にゆず酒と、先付けにぜんまい、小芋の山椒味噌和えとゴリの甘露煮。ゆずの風味とまったりとした甘味がよく効いたお酒を頂いた後、苦味の心地よいゴリを食すというコントラストがたまりません。芋もぜんまいももちろん美味しいのですが、ここはこの小さなゴリのもつ野趣溢れた風味の勝利といった感じ。

P1020861 暑い日はビールが美味しいのですが、やはりこういう料理には日本酒ですよね。キンキンに冷やされた竹の器から、これまたよく冷えた竹のお猪口に注がれたお酒がなんともたまりません。ここで出てきた料理が鮎のなれ寿しとうるかとは、なんという罪作りな組み合わせ。なれ寿しのなんともいえない臭みを柔らかく包み込む日本酒の懐の深さに脱帽。そしていよいよ鯉の洗いの登場です。

P1020863 涼しげな竹の器に盛られた鯉の洗いに、一同思わず感嘆の声が漏れます。あの池で泳いでいた鯉に臭みなどあろうはずもなく、上品な酢味噌とも相まって、鯉とはこんな旨いものなのかと驚いてしまいます。泥臭いイメージのある鯉が、此処では最上級の洗いとなるのです。

P1020867 さあ鮎の塩焼きです。都合三回鮎の塩焼きが供され、一回目はまず一人3尾づつ。程よく温められた小皿に取り分け、タテ酢で頂きます。小さめの鮎は焼きすぎかというギリギリのところまで焼かれ、頭から尻尾まで難なく食す事が出来ます。まったく臭みがなく心地よい香りだけを有する身と、なんともいえない鮮烈な苦味を帯びた肝の組み合わせに驚嘆。

P1020871 二回目は二尾づつ。川を泳いでいるそのままの姿のような盛り付けにまたもやため息が。料理の出てくるタイミングも完璧。個室ながら、インターホンや呼び鈴などの無粋なものはここでは必要ありません。この塩加減の絶妙なこと。これで五尾も頂いたのにまったく飽きさせません。

P1020872 秋のものとは種類が違うという中国地方で採られた松茸と、ジュンサイのお吸い物。三回目の鮎の前の箸休めといったところでしょうか。雑味の一切ない出汁と、独特の食感が堪らないジュンサイの組み合わせがなんともいえません。これで見事に舌をリセットされてしまいました。

P1020874 そして三回目も一人二尾づつ。恐ろしいことに、ここに来ても全く食べ飽きることがありません。なんでもかの有名な料理人、村田吉弘さんと三国清三さんが二人で四十数尾も食べたのだそう。にわかには信じがたいが、ここでこの鮎を食べてしまうと、それもなるほどと納得出来てしまう。それほどの旨さ。

P1020876 鮎をたっぷり堪能した後は、青梅のシロップ漬けと白ズイキのゴマ味噌和え。塩味に慣れた頃に、さっぱりとした白ズイキと爽やかな甘さの青梅とは...なんと心憎い組み立てでしょうか。しかしまあ、白ズイキってこんなにも旨いものなんですね。しゃきしゃきとした歯ごたえがなんとも堪りません。

P1020880 口の中がさっぱりとしたところで、鮎御飯がやって来ました。これを女中さんが鮎の小骨を取り、さくっとかき混ぜてよそってくれるのです。なんともいえない鮎の香りと、見るだけで食欲を掻き立てられるオコゲがもう...結構お腹いっぱいだったはずが、ここでまた空いてくるのだから不思議です。

P1020881 一人一人に御飯が行き渡った頃に、鯉こくも供されます。おこげのしっかりした鮎御飯の旨さは言うまでもなく、この鯉こくの旨さがまた極上。さっぱりとした白味噌仕立てで鯉こくを味わせるあたりに、素材への自信が窺えます。しみじみと体中に旨さが染み渡るような鯉こくに脱帽。もちろん漬物にもぬかりはなく、鮎御飯がついつい進んでしまいます。

P1020883 デザートはスイカとぶどうの杏仁ソースがけ。黒いのはタピオカです。この杏仁ソースがまた旨い。スイカとぶどうとの相性も抜群。贅を尽くした料理の後にぴったりな、なんとも美味しいデザートでした。この後お茶を頂きながら、一時間以上まったりと横になったり風景を眺めたりおしゃべりしたり...なんとも贅沢なひと時を過ごさせていただきました。

 人の欲望というものには限がないけど、それでも自分にとってこれ以上は望まないという境界線のようなものが確かに存在すると思うのです。その最高の贅沢が、私にとっては比良山荘での食事なのです。探せばもしかしたらここ以上に旨い所があるのかもしれません。しかし、その環境、その料理、そして人々のもてなし、それらを鑑みて私にはもうこれ以上のものは必要ない、と思わせてくれるだけのものが確かに此処にはあるのです。

店を出て、車を取りに行き、店の前を通るまでずっと見送りに出てくれていた女中さん達に感謝。そして、いつも素晴らしい料理を作ってくださる料理人さんと、比良山の自然にも感謝感謝です。

比良山荘

住所 滋賀県大津市葛川坊村町94

TEL 077-599-2058

営業時間 11:30-14:00 17:00-19:00予約制

火曜定休

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受信: 2006年8月16日 (水) 08時54分

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